ケイントップと石灰窒素(インドネシアは口蹄疫の清浄国)
2021/05/28
今回はケイントップと石灰窒素のお話をします。
ケイントップには石灰窒素が1%以上含まれております。これは、口蹄疫予防に関する法令により、家畜が口にしない事を条件に農林水産省から輸入許可がされている為です。それゆえ、当社ケイントップのパッケージには「家畜には使用禁止」と赤文字で注意喚起を行っております。
これを聞くと「ケイントップは変な病気を持ってくる可能性があるのか?」と心配される方がいらっしゃいます。実は、当社の輸入元のインドネシアは口蹄疫の清浄国(=口蹄疫などの家畜伝染病が発生していない国)なのです。アジアでは日本、インドネシア、シンガポール、ブルネイ、フィリピンのみが清浄国であり、当社のケイントップが口蹄疫を持ちこむ心配は今のところございません。(出所:農水省HP 海外における口蹄疫の発生状況 2021年5月時点)
では、なぜケイントップは石灰窒素を混ぜなければ輸入できないのか。
かつてケイントップは、牛用の牧草として輸入されていたのです。ケイントップは「価格が安い」「嗜好性が良い」「芳香が良い」などの理由で牛用の飼料として人気となりました。当時のケイントップの供給国は台湾、タイ、フィリピン、インドネシアなどでしたが、その中でもインドネシアのサプライヤーは乾燥機を導入したことにより品質が安定し、インドネシアが最大の供給国となりました。その名残で、当社輸入元のUTAMA社は今でも乾燥機を持っているのです。当時の関係者の記憶によると、当時も「稲わらの代替」として、年間約6万トンものケイントップが家畜の飼料として輸入されておりました。
しかしながら1997年、台湾で口蹄疫が発生したことをきっかけにアジア全体からの稲わら・牧草類の輸入が禁止となりました。そこから数年はケイントップが輸入されることはありませんでした。
その中で、一部の農家さまからケイントップの供給再開を求める声があがりました。飼料用として人気を博したケイントップは、実は一部の農家さまにも「稲わらの代替」として重宝されていたのです。そこで、①牛が絶対口にしない、②肥料として活躍する資材を検討した結果、石灰窒素を含有させることで、輸入を再開させる事ができました。
時々農家さまから、「石灰窒素が入ってない方が使いやすい」とお声を頂く事があります。農林水産省は口蹄疫の発生地域からの、わら ・飼料用の乾草は原則輸入禁止としておりますが、清浄国であるインドネシアはこれに該当しないはずです。という事は石灰窒素を混ぜなくても問題ないのでは...?と考えてしまいます。しかしながら今は、アジアをひとくくりとし、「アジアからの稲わら・牧草類は原則輸入禁止」 = 「ケイントップには石灰窒素を混ぜなければならない」、という事になっているのが現状なのです。