土についての基礎情報~「良い土」ってどんな土?~
「農業=土作り」といわれるほど、農業にとって作物を育てる土が大切なことはよく知られています。それでは良い土とはどのような状態を指すのでしょうか?こちらでは有機土壌改良剤「ケイントップ(SK土改剤)」を全国展開する「アグリック株式会社」が良い土の定義についてご説明します。
良い土とは?
土の性質には「物理性」「生物性」「化学性」という3つの要素があります。これらのどれかが欠けていたとしたら良い土にはなりません。一般的には3つの要素がバランスよく整うことによって、健全で秀品率の高い作物をたくさん収穫できる土となります。
「生物性」については土壌中の微生物層を調べることによってわかります。微生物層が豊かな土は、連作障害も起こしにくいのです。また土壌を分析することでわかるのが「化学性」。土壌中の化学的成分を整えることによって、作物が十分生育する環境となります。
最後の「物理性」は、土を構成する個体、液体、気体の数値で判断できます。それぞれ固相、液相、気相とよばれ、これら3つのバランスが整っている土が良い土です。物理性に優れた土は、水はけがよく、空気を含み、肥料の保持力も備えています。
農業に適した理想的な土は、ふかふかして耕しやすく肥料を蓄えやすい土です。このような土であれば、植物はしっかりとした良い根を張り、十分に養分を吸い上げることができます。良い土壌にしっかり根を張った作物は、元気に育ち病害虫に負けない強い作物となるのです。
良い根を作るには、次の4つの物理的性質を整えることが必要になります。
上記の4条件を備えた土壌であれば、根から空気と水と養分をしっかり吸収でき、それを適切に保持できるのです。
良い土のキーワードは「団粒構造」
土の種類にさまざまなものがあり、代表的な土が粘土質の土と砂質の土です。粘土質の土の場合、土の粒の隙間が小さいので、排水性と通気性が悪くなります。また土の粒がぎっしり詰まっているため根が伸びにくく、保水性と保肥性もよくありません。
一方、砂質の土は土の粒の間隔が大きいので、粘土質とは逆に水はけはよくなります。しかし隙間が多く水はけがよすぎるため水持ちがせず、肥料の成分も流れやすくなってしまいます。保水性と保肥性が良くないため、こちらも作物の生育に適しているとはいえません。
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単粒構造の土壌
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団粒構造の土壌
- 土
- 水
- 空気
排水性と保水性は相反する性質ですが、このどちらもバランスよくないと、農業に適した土壌にはならないのです。そして、これらを両立させる土が、いわゆる「団粒構造の土」とよばれる土になります。
団粒構造の土
粘土質の土地や砂地は「単粒構造」でできています。これに対して粘土と砂が混ざり、腐植により適当にのりづけされた土の塊が複数存在し、大小の隙間がある土壌を「団粒構造」の土といいます。いわゆるふかふかした土は、この団粒構造がしっかり作られている土です。
団粒構造の土では、団粒間に大きな隙間、団粒内に小さめの隙間ができています。団粒間の大きな隙間が排水性や通気性を生み、団粒内の小さな隙間によって保水性や保肥性を発揮しているのです。
こうして団粒構造の土は水はけにも水持ちにも優れ、新鮮な空気と水が通りやすく、しかも水分と養分を保持して植物が元気に育ちます。
・排水性が良い
・通気性が良い団粒内の小さな隙間
・保水性が良い
・保肥性が良い
団粒構造の土を実現するためには
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粘土質の土
砂質の土 -
ケイントップ
(土壌改良剤)を
鋤きこむ -
土壌有効菌(善玉菌)が増殖・活性化
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土壌有機物(腐植) が生み出される
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腐植が粘土と砂を
適当にのりづけ -
複数の
のりづけされた
土の塊が存在する(団粒構造) -
根が張りやすく
保水性や保肥性
通気性、排水性が高くなる -
根が張り、
肥料の効きが
良くなる
質(秀品率)の高い
農作物ができる
粘土質の土や砂地など単粒構造の土を団粒構造にするには、土壌改良材を鋤き込み、土壌菌(有効菌)の働きを活発にし、土壌有機物すなわち「腐植」を多く生み出す必要があります。
生み出された腐植によりのりづけされた土の塊が複数存在すると、大きな隙間と小さな隙間が混在するふわふわな土壌(団粒構造)になります。
団粒構造の土は根が張りやすく、通気性や排水性に優れているのが特徴です。また、小さな隙間が保水性や保肥性をもたらすので、農薬の使用量を抑え、さらに肥料の効果を最大限に高められる土壌が形成されるのです。